日曜日の夜、渋谷はどしゃぶりであった。
昼の上映を見た夫が、監督がずっといたという。
久方ぶりに靴の中がじゅぶじゃぼいう感覚におののきつつ、整理券を受け取ったとき言われた時間に映画館に着くと、もう着席可とのことなので入る。幸い太股より上は濡れずに済んでいた。前の方に座る。
私が送った折り鶴はいつ使われるのかな、とどこかで思いながら見ていた。話の流れを何となく知っているような、二度見た「美式天然」をときおり思い返していた。まだ見ることのできていない「アリア」の気配もそこにあるのかなとも思っていた。
静かな映画だった。ただただ見たかった場面が切り取られるように映し出されていく。
涙が流れたタイミングはスクリーンに映るそれと同じだった。
自分の折った折り鶴が見えたような気がして、それを味わっていいのかわからないなと戸惑いつつも、目の前のスクリーンが美しいので、見ることができたことがうれしく。
ゆるされたような心持ちになった。
エンディングテーマの「小さな空」が珠玉だった。演奏陣も歌声も。なによりなんていいうたなのだろう。
スタッフロールに折り鶴を折ってくれた人たちとあったので、じゃあ私もそのひとり。
もっとみんながみてくれればいいな、と願う。スクリーンで見た方がしあわせだもの。テレビでじっくりゆっくり見られる日があったら、それはそれですてきかもしれないけれど、珈琲飲みつつ見ようとするだろうけれど。
渋谷駅の山手線ホームでラ王袋麺屋の小屋の壁で招き入れるさっきまで野田さんだったひとの写真を見なくて済んだらありがたかったかなー。まあしかたあるまい。